2023年2月14日火曜日

「窓際・人形」2012


東北地方の伝承『おしら様』がモチーフ。馬と娘の悲恋の物語が神格化。養蚕の神とされる。
…と聞いて思い起こすのは、日本神話のあのエピソード。アマテラスの機織り(はたおり)小屋にスサノオがイタズラ?で皮を剥いだ馬を投げ入れて機織り女をショック死させてしまい、この件が決定的となってアマテラスは岩戸隠れしてしまう。
これら2つの物語に重なりが見られる。

この絵は『ニヒル牛2』で個展をさせてもらった時に初めて展示した。ニヒル牛は「たま」の石川浩司さんの奥様である石川あるさんのレンタルボックスのお店。良い経験を色々とさせてもらい、関わっていたのが一年半にも満たないなんてびっくり。自分が主に作っている作品がスペースに置きづらく、それ用に小さな雑貨をつくるのが負担になってきてしまいやめることにした。ニヒル牛で出会うのはシンパシーを感じる方ばかりで心地良かった。ベタに中央線沿に住んでニヒル牛にしょっちゅう遊びに行く楽しい20代を過ごしたかった。けれどもやっぱり自分が進みたい道はガチ美術な方面で、基本的には大きな作品をつくらないとお話にならない世界。狭いアパートを借りて生活費を稼ぎながら大作をつくるなんて暮らしで、さらに遊ぶ余裕は出来るのか、本当にやりたい事からは遠ざかるんじゃないかと逡巡し、日課の様に賃貸サイトを覗いていたけれど結局上京はできなかった。音楽を心の拠り所に淡々と制作する地味な日々を送った。後悔はしていない。