2024年1月13日土曜日

日本三奇その壱【石乃寶殿】

日本三奇探訪、コンプリートしたので記して行きます。

ひとつめは兵庫県高砂市、生石神社(おうしこじんじゃ)の石乃寶殿。竜山石の岩山からくり抜いた巨大な作石。迫力があり存在も不思議で、特に古代史好きな人でなくても一見の価値あり。























石のまわりをぐるっと見て、後ろの出っ張りが家形石棺の縄掛突起と似ているなと思う。
となると600年前後に作られたものなのかな?

家に帰って播磨国風土(715年頃編纂)を開くと、印南(いなみ)の郡の条にこう書かれていた。
『原の南に作石がある。その形は家のようである。長さは二丈(約6m)、広さ一丈五尺、高さも同じぐらいである。名づけて大石といった。伝えて言うには、「聖徳王の御世に、弓削の大連が造った石だ」ということである。』
場所やサイズからして石乃寶殿の事を指すと見て良いだろう。そして聖徳太子が活躍したのは600年前後なので、デザイン的にも時代がばっちり符号。気持ちいい。

益田岩舟や牽牛子塚古墳などと照らし合わせて考えると、作りかけの横口式石槨と考えるのが順当ではある。しかしそれなら外側もここまでピシッと整えなくても良い様な気も。何を作りたかったのかはさて置き、切り出してみたものの、大き過ぎて運べなかったのかなと想像。


2024年1月9日火曜日

「塒」2023

 













タイトルは「とぐろ」と読みます。ねぐら、とも読むそう。川は道であり、道は蛇であり、蛇の道は蛇である。

古代日本の文献において、蛇はあらゆる物の隠喩として登場する。神が形を変えた存在としても頻繁に描かれる。聖書におけるアダムとイブの楽園追放エピソードでは、蛇は悪魔の化身として描かれる。動物界で蛇は群を抜いて不思議な生き物という事が世界の共通認識なのだろう。


大阪側から葛城山を抜けると大和平野の大パノラマが。そこから高田バイパスを通る景色が大好き。奈良帰省の度にわくわくキョロキョロ。二上山、畝傍山。郷愁が爆発する総合プール、でんぷん工場。いつまでも完成しない高速道路の脚。そして巨大なイオンモール。悠久の歴史を強く感じるドライブとなる。この景色を描きたいと思った。この道と時間を抱き締める存在として、蛇が頭に浮かんだ。道の行く先から空へと昇る蛇を、各地の祭で使用される藁で編んだ蛇をモチーフに表現した。


「でんぷん工場」2022