2023年3月30日木曜日

「桜の水面に鳩が二羽」2020


四天王寺の池のほとりの鳩。
散った桜の花びらだらけの池。
鳩のカラーリング好き。
こっち見ないで。


「桜の水面に鳩一羽」2020


「盗蜜」2020



雀が桜の花をついばんでいる様子は正しく絵になる。
昆虫や鳥などが受粉を行わず蜜だけを掠め取る行為を「盗蜜」と呼ぶそう。耽美な語感。 


2023年3月29日水曜日

「タタリギョ」2010



大学を卒業した月に、大学の同級生で今も作家活動を続けている尾中文さんと二人展をした。
「せっかく二人で展示をするのなら、それぞれつくった作品をただ並べるのではなく展示自体にコンセプトが欲しい」という彼女の提案により、

・私がつくった作品をインスピレーションに彼女が作品をつくる(2組)
・彼女がつくった作品をインスピレーションに私が作品をつくる(2組)
・同じテーマで作品をつくる「海」「分裂」「気配」(3組)

以上の計7組から成る、二人が呼応する展示というコンセプトを持つ事にした。タイトルは『CHANNELING』。

「タタリギョ」は、尾中文さんの写真作品をインスピレーションに私がつくった作品。
漁港。そこで日々を営む人々、かなり黒が強い。おばあさんが作業の手は止めずに訥々と語り出す。『手を差し伸べられたと思ってその手に乗ると、それは疑似餌で、あっという間に丸呑みにされてしまうから気をつけるんだよ。』何かの比喩なのだろうか。そんな海の怪物の話。


2023年3月28日火曜日

「いろぐるり」2009



大きなウミウシの上に小さなウミウシが乗った、全長2.5mの大きな作品。大学三回生の年度末制作展に出品。油画の同級生達が当たり前の様に一緒に運んでくれたのがありがたかった。

ど素人ながらも演劇の衣装を作ったのが楽しかったので、その流れで作った初めてのぬいぐるみ作品。この頃はまだ作品を記録する意識が低くてあまりいい写真が無い。

2023年3月24日金曜日

「花と貝」2011



ウミウシと花瓶を合わせた絵。
貝殻の退化した貝類であるウミウシと、花を入れるための器として作られた空っぽの花瓶は相性が良いと思って組み合わせた。

日本に生息する動植物は諸外国と比較すると地味な色が多い印象だが、こんなに鮮やかな生き物が浅瀬にいると思うと嬉しくなる。
海へ行くとウミウシいないかなあと意識して探してはみるものの、まともに見つけたためしがない。大学時代、SHIMADASでウミウシの種類が豊富な島だと紹介されていた富山県の虻ヶ島へウミウシ狙いで訪れた。シュノーケリングで探してはみたが一匹も見つけられなかった。水族館で見てかなり小さいというのはわかっている。一匹見つかると次々見えてくると聞くので、一度詳しい方に引率して頂きたいものである。
ちなみに氷見には二度訪れた事があるのだが、海産物が本当に美味しい。どのお店も美味しかった。特に蟹汁が印象的。

 

2023年3月23日木曜日

「さざ波」2013



伊根をお散歩している時、浅瀬に鮮やかなヒトデがいた。波が寄せるとヒトデの色が水の色と混じり合って美しかった。
筆致を線で囲む技法の集大成として大きめサイズで描いた。


「月夜の蟹」2014

2枚目は、図鑑で見たタイワンガザミ。カラーリングがすごくきれいで描きたくなって、ただ描いただけ。コンセプトとか何も無いのでタイトルは「月夜の蟹」。気楽に描いたものの方が評判が良い事もある。
しかし少々罪悪感。具体的なモチーフを描くのであれば、なるべく自分の目で実際見た物を描きたいと思っているから。中原中也の影響である。

百科事典を引き廻し
鳥の名や花の名や
みたこともないそれなんか
ひつぱり出して書いたつて


2023年3月22日水曜日

「池」2013

 


油絵は多くの場合、描いては乾かしを繰り返して何層にも塗り重ねて仕上げる。下の層の筆致を白い線で囲み(線の片側はぼかす)、その上に薄めの絵具をかけて色の重なりの効果を色々試していた時期のもの。

好きな油絵具の色はダントツでシルバーホワイト。自分の技法研究課題はシルバーホワイトの扱いと言っても過言ではない。きめ細かい印象で色味が丁度いいきれいな白。しかしこの色の原料は毒性のある鉛白で、もう販売していない国もあるとか。日本でも販売禁止になったら結構辛い。鉛白は古代より長きに渡っておしろいとして肌に塗られていた歴史がある。今普通に使っている物も、後で毒だったと評価が変わるものがきっとあるだろう。それを避けるのはなかなか難しいから、最善策はリスクを分散する事かと頭では思う。


「鯉」2012

2023年3月7日火曜日

「怒和のヴィーナス」2013

 


友人が愛媛県怒和島(ぬわじま)で採れたサザエを送ってくれた。引っ張り出したサザエの中身を見て美しいなと思った。貝だけに、ボッティチェリのヴィーナスと重ねて描いた。

S100号(162×162cm)の作品を見た方から、気に入ったけど大きすぎるから小さいサイズで描いて欲しいという依頼を受けた。そうして描いた小さな「怒和のヴィーナス」の方が私も気に入っているし、学びがあった。私はこれいいなと思ったらすぐ絵にしたくなるのでモチーフが色々になる。常に描きたいモチーフが待機していて、同じ様な絵を2枚描こうという気になかなかならない。貴重な経験をさせて頂いたと感謝している。モランディの様に同じ様なモチーフばかり描くのも禅っぽくて格好いいなと思うのだけど、自分が描く動機は精神統一では無い様なのでしょうがない。

2023年3月6日月曜日

「春の日あくび」2019


若草山山頂の気持ち良さったらただでさえ最高なのに、春の桜の頃に訪れたらそこはもう異世界で。鹿が気持ちよさそうにまどろんで、かなり近づいても余裕であくび。暖かい風にパノラマの眺望。この絵を見るとあくびが出ちゃう。寝室に飾ると良いかもですね。

3枚目は東大寺の北側裏道のワンシーン。二月堂から戒壇堂へ向かう裏道は静かで雰囲気が良く、考え事をしながら歩くのにとても良い。
この絵は自分の課題とする薄塗りの抑制がうまくいったので、彩度の低い色がきれいに発色させられたと思う。モニターだとあまりわからないと思うけど…。油絵具には透明感があり、特有の色の奥行きが油彩画の見所のひとつだと思う。その辺りの良さがモニターだと全然伝えられない。ちょっと気になる油彩画展のポスターを見つけたら、是非展覧会に足を運んで欲しい。実物の方が何倍も良いので。日本画の岩絵具のきらめきも、原画を見ないとわからないと思う。 



「春の気持ち」2019


「路地裏の隅」2021