2023年11月30日木曜日

FACE2024


絵画の全国公募「FACE2024」にて審査員特別賞をいただきました。

https://www.sompo-museum.org/news/2023/face2024_winners/

入選者展覧会があります。
美術作品は写真と実物の印象が全然違ったりしますので、
是非実物を観る体験を楽しんでもらいたいなと思います。


『FACE展2024』
2024.2.17(土) - 3.10(日) 
東京都新宿区  SOMPO美術館にて開催予定


「恋なすび」2023

 


聖書に出てくるアイテム「恋なすび」。
「恋」と「なすび」という、私には遠いところにあると感じる2つの言葉が合わさっているのが気になった。調べてみると、どうやらマンドレイクと同じ物を指しているらしい。
マンドレイクはハリーポッターで初めてお目にかかった。写真で見る限り、実際の植物はそこまで印象的な見た目かな?と思うし、毒草・薬草の類は他にも色々あるだろうに、マンドレイクが不思議な植物のアイコン的存在になっているのが興味深い。





「ん」2023



塊根植物の亀甲竜、狛犬、阿字観のイメージをミックス。



 

「GATE」2020

 


奈良県五條市、源龍寺の歳時「流し雛」がモチーフ。
大豆と色紙でつくった雛人形を竹皮の小舟に乗せ、着物を着た女の子たちがそれを吉野川に放って穢れを祓うという行事。和歌山県加太の淡島神社へ辿り着くよう流しているそう。流し雛自体は各地で行われており、雛祭りのルーツと言われている。

淡島神社は人形供養の場所として有名で、2013年に『珍スポット』として訪れた事がある。
何を自分のテーマとしたいかがわからず、とりあえず変なものが好きなので変と聞けば行ってみていた頃。手当たり次第の見聞によって自分の心が反応するものがだんだんわかってきて、今はこのあたりをもっと深掘りしたら良さそうという鉱脈は見つけたんじゃないかなと思っている。あとはどれだけ手を動かせるか。


「FLOAT」2020


「すさのう」2021


風が吹いて海がさざめき、雲が太陽を覆い急展開で荒れ模様になるとき、スサノオが不機嫌になったのかなと神話の世界観で思ってみたりする。スサノオが出て来そうを動詞にしてタイトルは「すさのう」。


「イソラマル」2020



記紀には出て来ない、福岡が信仰の中心である海神。

安曇磯良(あずみのいそら)、阿度部磯良(あとべのいそら)などとも呼ばれる。太平記によると、海の中に住んでいたため貝などが張り付いた自分の姿を醜いと恥じ、神功皇后の召集に応じられなかった。しかし音楽が鳴り踊りが始まるといてもたってもいられず姿を見せ、神宮皇后の渡海を助けたという。そんなキャラクターの神。

奈良春日大社の「おん祭」にて奉納される「細男(せいのお)」という舞がある。舞というより動き…?素朴で奇妙で呪術感に満ちている。起源はわからないけれど、このような舞はこの祭にしか残っていないらしい。日本における原始的な舞の極みだと思っている。そしてこの舞のモチーフが磯良丸と伝わっているのだ。
磯良丸がモチーフと聞くと、踊りのセンスは全然ないけど踊りがめちゃくちゃ好きで真剣に取り組む姿が心を打っている、そんな舞に見えてきたりもする。なんとなく不器用そうなイメージを持っているので。

ところで古代をテーマに描く時、衣装が難しい!古代の衣服は現物がほぼ残っていないので土器の線刻画や埴輪、古墳の壁画なんかを参考にするしかない。時代考証を突き詰めると窮屈になるので、完全に雰囲気で描いてしまう(これはこれで難しい…)か、そのキャラクターにゆかりのあるモチーフを選ぶという方向性で行こうと思っている。というわけで、この磯良丸は細男の装束を用いることにした。

 

「ククリヒメ」2020



ククリヒメが神話に登場するのは日本書紀の一書のみ。(日本書紀の神代紀では「一書曰く」と前置きし、パラレルワールドが並び記される。)
イザナギとイザナミが協力して国生みした後、色々あって仲違いするクライマックスの問答シーン。そこに現れる不気味な一節。

このとき菊理媛神(ククリヒメノカミ)が申し上げられることがあった。伊弉諾尊(イザナギノミコト)はこれをお聞きになり、ほめられた。

…何を言ったのか記されていない…。
話の前後から推察するにククリヒメはイザナギとイザナミの間を取り持ち、ククリヒメの一言でイザナギは納得しイザナミとの決別を決意したのかな…?というかんじ。思わせぶりが過ぎる描写にまんまと捕まってしまった。

ここしか出番がないのにもかかわらず、全国の白山神社(北陸が信仰の中心)の祭神「白山比咩神(しらやまひめのかみ)」と同一神とされるので、奈良の神社の摂末社でもばったり出会ったりしてびっくりする。

「ククリ」は「括り」ではないかという説が役割的にしっくりくると思うので採用。
この絵を描くにあたって島根県松江市東出雲町の「黄泉比良坂(よもつひらさか)」をロケハンして来た。傍に原種の桃であるオハツモモが植えられていた。ククリヒメが抱っこしているのは奈良の平尾水分神社のお祭りで用いられるこよりがたくさん巻きつけられた翁面のお人形「若宮さん」。直接的な関連性は無いのだけど、ククリヒメに似合うと思ったので。
 

「イワナガヒメ」2021

 



石や岩にとても惹かれるし、描くのもとても好き。そして人間の信仰の原始。自分がこれから継続して描いて行きたいモチーフ。手始めに、日本神話に登場する岩を司る神、イワナガヒメを描こうと思った。岩とは永遠のメタファーである。

山の神オオヤマツミが二人の娘、コノハナサクヤヒメとイワナガヒメを天皇の祖先神であるニニギノミコトに二人とも嫁がせようとした。しかしニニギノミコトはイワナガヒメを見て醜いと思い、イワナガヒメだけ送り返し、オオヤマツミを怒らせた。永遠という祝福を突き返した事により、ニニギノミコトの子孫より命が限りある物となった。日本神話における寿命の起源譚だ。

この様にイワナガヒメは不遇のヒメである。物語の中で美しいとされるコノハナサクヤヒメは、堂本印象さんが描いた繊細でたおやかな日本画が有名だ。とても美しい絵だが、反発心も覚える。ステレオタイプな美しさとも言えるのではないのかと。そもそもイワナガヒメが醜いというのはニニギノミコトの主観ではないのか?それに、ニニギノミコトはその後、モラハラ発言によりコノハナサクヤヒメをも大激怒させている。ニニギノミコトがちょっとアレなヤツで見る目ないだけなんじゃないのと思ってしまう。そういう訳で、力強い美しさを持つイワナガヒメを描く事を目指した。ロケーションは高千穂峰を参考に。

2023年11月15日水曜日

菜園近況


10月3日、突然庭に生えてきて次の日にはしなしなになった変なキノコ。
おそらく「キツネノロウソク」かと思われます。



菜園の夏野菜はすべて抜いて、春に向けての野菜達やお花の球根も植え、秋の園芸は一段落。サツマイモの初収穫もしました。「紅はるか」が大人気でやっている人が多いので、あえての「安納芋」。一ヶ月程寝かせる。小さい物は甘くて美味しい!大きめの物はぼやけた味…。もっと寝かせると甘くなるのかな?やはり紅はるかの方が味が安定するのかも?



夏野菜の思い出。


昨年カメムシ被害でなかなかきれいにできなかったトマトとパプリカ、防虫ネットで覆う事で収穫まで漕ぎ着けました。



薄皮ミニトマト「プチぷよ」、美味しいしたくさん成ってくれてとても良かったです。トマト嫌いの姪っ子も食べてくれて嬉しい限り。



スイカ「金色羅皇」に種から挑戦。我慢我慢の一果採り。その甲斐あって糖度15度でした!これは楽しい。スイカ初期の成長速度にびっくり。下のスイカ写真の1枚目→2枚目までの所要時間は一週間です。

 

草花近況

 

オキナワスズメウリの実が緑から赤のグラデーションで散らばっていてきれいです。リースにするなら今が良さそう?

 

モグラ対策にと裏庭に生えていたヒガンバナを菜園脇に移植したつもりがナツズイセンでした。涼しげでとってもきれい。

 

秋に向けて種まきしたつもりのトサカゲイトウが早くも咲きました。まだ暑くてもお盆を過ぎると秋めいた物も気持ち的に受け入れられますね。写真はないですが「ときめきビンカ」(ニチニチソウ)と真っ白なダリアも夏の庭で長く咲いてくれて良い感じです。

 

アーティチョークは6月に咲きました。梅雨の長雨でだいぶ傷んでしまい開花期間も短かったですが、蕾が開く途中もかっこいいし花の色が蛍光色に見えるぐらい鮮やかで目を見張るものがありました。その後の暑さでさらに急激に傷んで地上部無くなり中です。果たして来年も咲くのかどうか。

 

春にレックスベゴニアを葉挿ししたものが根付き、ずっと外の日陰に置いています。対して屋内の窓際で管理していた鉢達が梅雨〜夏でだいぶ弱ってしまいました。難しいとされる冬越しは特に問題なかったのに…日光不足もですが風通しの悪さが一番の原因だった気がします(キノコが何度も生えてきた…)。8月半ばから外の日陰に出したら少し回復してきました。葉挿しの保険があるので精神的なダメージが少なくて良かったです。


(2023.8 記述)