2023年11月30日木曜日

「ククリヒメ」2020



ククリヒメが神話に登場するのは日本書紀の一書のみ。(日本書紀の神代紀では「一書曰く」と前置きし、パラレルワールドが並び記される。)
イザナギとイザナミが協力して国生みした後、色々あって仲違いするクライマックスの問答シーン。そこに現れる不気味な一節。

このとき菊理媛神(ククリヒメノカミ)が申し上げられることがあった。伊弉諾尊(イザナギノミコト)はこれをお聞きになり、ほめられた。

…何を言ったのか記されていない…。
話の前後から推察するにククリヒメはイザナギとイザナミの間を取り持ち、ククリヒメの一言でイザナギは納得しイザナミとの決別を決意したのかな…?というかんじ。思わせぶりが過ぎる描写にまんまと捕まってしまった。

ここしか出番がないのにもかかわらず、全国の白山神社(北陸が信仰の中心)の祭神「白山比咩神(しらやまひめのかみ)」と同一神とされるので、奈良の神社の摂末社でもばったり出会ったりしてびっくりする。

「ククリ」は「括り」ではないかという説が役割的にしっくりくると思うので採用。
この絵を描くにあたって島根県松江市東出雲町の「黄泉比良坂(よもつひらさか)」をロケハンして来た。傍に原種の桃であるオハツモモが植えられていた。ククリヒメが抱っこしているのは奈良の平尾水分神社のお祭りで用いられるこよりがたくさん巻きつけられた翁面のお人形「若宮さん」。直接的な関連性は無いのだけど、ククリヒメに似合うと思ったので。