2023年11月30日木曜日

「イソラマル」2020



記紀には出て来ない、福岡が信仰の中心である海神。

安曇磯良(あずみのいそら)、阿度部磯良(あとべのいそら)などとも呼ばれる。太平記によると、海の中に住んでいたため貝などが張り付いた自分の姿を醜いと恥じ、神功皇后の召集に応じられなかった。しかし音楽が鳴り踊りが始まるといてもたってもいられず姿を見せ、神宮皇后の渡海を助けたという。そんなキャラクターの神。

奈良春日大社の「おん祭」にて奉納される「細男(せいのお)」という舞がある。舞というより動き…?素朴で奇妙で呪術感に満ちている。起源はわからないけれど、このような舞はこの祭にしか残っていないらしい。日本における原始的な舞の極みだと思っている。そしてこの舞のモチーフが磯良丸と伝わっているのだ。
磯良丸がモチーフと聞くと、踊りのセンスは全然ないけど踊りがめちゃくちゃ好きで真剣に取り組む姿が心を打っている、そんな舞に見えてきたりもする。なんとなく不器用そうなイメージを持っているので。

ところで古代をテーマに描く時、衣装が難しい!古代の衣服は現物がほぼ残っていないので土器の線刻画や埴輪、古墳の壁画なんかを参考にするしかない。時代考証を突き詰めると窮屈になるので、完全に雰囲気で描いてしまう(これはこれで難しい…)か、そのキャラクターにゆかりのあるモチーフを選ぶという方向性で行こうと思っている。というわけで、この磯良丸は細男の装束を用いることにした。