タイトルは「とぐろ」と読みます。ねぐら、とも読むそう。川は道であり、道は蛇であり、蛇の道は蛇である。
古代日本の文献において、蛇はあらゆる物の隠喩として登場する。神が形を変えた存在としても頻繁に描かれる。聖書におけるアダムとイブの楽園追放エピソードでは、蛇は悪魔の化身として描かれる。動物界で蛇は群を抜いて不思議な生き物という事が世界の共通認識なのだろう。
大阪側から葛城山を抜けると大和平野の大パノラマが。そこから高田バイパスを通る景色が大好き。奈良帰省の度にわくわくキョロキョロ。二上山、畝傍山。郷愁が爆発する総合プール、でんぷん工場。いつまでも完成しない高速道路の脚。そして巨大なイオンモール。悠久の歴史を強く感じるドライブとなる。この景色を描きたいと思った。この道と時間を抱き締める存在として、蛇が頭に浮かんだ。道の行く先から空へと昇る蛇を、各地の祭で使用される藁で編んだ蛇をモチーフに表現した。
「でんぷん工場」2022