2024年4月19日金曜日

「環」2024



本日発売の雑誌「美術の窓」5月号は新人特集で、
『評論家・学芸員が選ぶ注目の新人18』というコーナーに三菱一号館美術館上席学芸員の野口玲一さんが私を紹介して下さっています。作品・作家評を書いて頂けて嬉しい限りです。



2024年2月19日月曜日

「CYCLE」2023

 「FACE展2024」開催中です。
新宿のSOMPO美術館にて大作1点を出品しています、是非ご高覧ください。

【会期】2024年2月17日(土)〜3月10日(日)※月曜休館
【開館時間】10時〜18時(入館は17時半まで)
【観覧料】700円(高校生以下無料)
              



「CYCLE」2023


・在宅中、ドンっとぶつかる音に驚き表に出てみると、そこにヒヨドリが横たわっていた。窓ガラスに激突したらしい。自分の家の敷地内なので自分で片付けるしかない。怯えながら横に敷いた新聞紙の上にヒヨドリを転がすと、顔が見えた。とても可愛い。たった今絶命したところなので剥製とは違い、羽も新鮮で美しい。野鳥を至近距離で観察する機会なんてなかなか無いので見入ってしまった。

・家庭菜園をやる中で思いの外、堆肥づくりが楽しい。ポリカーボネートの波板で四方を囲った堆肥ボックスを作成し、その中に野菜の残渣や抜いた雑草、剪定した木の枝なんかを入れて、米糠・水・土を少々かけ、シートで覆っておく。米糠によって微生物の活動を促進して残渣が徐々に分解され、これを畑に漉き込むと植物の栄養になる。園芸を始めるまでは、土はただそこにある物で、「土を作る」なんて考えた事もなかった。こうして命が循環していく事に感動を覚える。

これらの経験から、この絵を描くに至った。


「地球の質感」2023

銀座の老舗画廊、日動画廊が主催する「昭和会展」に入選しました。
S30号1点、S10号2点を出品予定です。是非ご高覧ください。

【 展覧会会期 】 2 0 2 4 年 3 月 1 4 日(木) 〜 2 5 日(月)  ※ 日 曜・祝 日 休 廊
【会場】日動画廊本店 東京都中央区銀座5-3-16

その後、名古屋・福岡へ巡回予定。
※名古屋・福岡ではS10号2点のみ展示

・日動画廊名古屋店〈2024.4/9~20〉※日休

・日動画廊福岡店〈2024.5/18~26〉会期中無休


「地球の質感」2023 (S30号)

「地球の質感 road」2023 (S10号)

「地球の質感 hike」2023 (S10号)


 高千穂峰・御鉢火山をモチーフにした連作。
噴火の跡をしっかりと感じる山を歩くのは初めてで、「地球は生きている」「地球を歩いている」という実感があった。私達は地球という生命体の細胞の一つで、すべてが繋がっているように思えた。


2024年2月3日土曜日

日本三奇その参【天逆鉾】

宮崎県都城市(みやこのじょうし)、高千穂峰の山頂に突き立てられた天逆鉾(あめのさかほこ)。坂本龍馬が新婚旅行で訪れた事でお馴染み。これを見るには往復計三時間の登山が必要。それぐらいだったらまあ大丈夫でしょうと、気楽に挑んだ。

朝。舗装された道を少し行った後、急坂&足元が大自然に。しかも霧に包まれて先が全く見えない。風も強い。登ると一足毎に足がとられて沈む。これは…怖い。視界が狭くて不安だけれど、この世とあの世の境界にいるような景色で大好きな雰囲気だった。山頂に着く頃に一気に霧が晴れ、青空バックで天逆鉾を見る事ができた。噴火で折れて、今あるものはレプリカらしいけど、それでも見られて嬉しい。下山。行きとは打って変わった景色が眼前に広がり、素直に大感動。感動すると描きたくなる。行きと帰りで全く景色が違い、二度美味しい最高の登山になった。



2024年2月1日木曜日

日本三奇その弐【四口の神竈】

  
宮城県塩竈市、陸奥国一の之宮である鹽竈神社(しおがまじんじゃ)の末社、御釜神社に「竈の水があふれない・干上がらない」「変事があると水の色が変わる」と伝わる四口の神竈(よんくのしんかま)がある。一つの直径が1m程の古い鉄製の甕で、拝観料100円を支払うと見学させてもらえる。写真は禁止だったので、鹽竈神社博物館にあったパネルを撮影。(……この写真、海水足してる様に見えるのだけど……?)これらの竈は鎌倉、南北朝時代の作だそう。
古事記や日本書紀の時代、東北地方は大和政権下に無いのであまり参考文献が無い。しかし鹽竈神社では古事記や日本書紀に登場する塩土老翁(しおつちのおじ)が祭神で、製塩方法を教えてくれたと伝わるのが面白い。モデルとなる人物がいたのかもしれないと思わせてくれる。製塩方法とは言うけれど、効率よく塩づくりをする為の製鉄技術を伝えた事がより重要なのではないかと考える。



毎年7月6日に行われる藻塩焼神事で作られた藻塩が納められたお守りがありました。塩釜神社、御釜神社のどちらでも授かれます。御釜神社は塩釜神社から少し離れた場所にありました。



2024年1月13日土曜日

日本三奇その壱【石乃寶殿】

日本三奇探訪、コンプリートしたので記して行きます。

ひとつめは兵庫県高砂市、生石神社(おうしこじんじゃ)の石乃寶殿。竜山石の岩山からくり抜いた巨大な作石。迫力があり存在も不思議で、特に古代史好きな人でなくても一見の価値あり。























石のまわりをぐるっと見て、後ろの出っ張りが家形石棺の縄掛突起と似ているなと思う。
となると600年前後に作られたものなのかな?

家に帰って播磨国風土(715年頃編纂)を開くと、印南(いなみ)の郡の条にこう書かれていた。
『原の南に作石がある。その形は家のようである。長さは二丈(約6m)、広さ一丈五尺、高さも同じぐらいである。名づけて大石といった。伝えて言うには、「聖徳王の御世に、弓削の大連が造った石だ」ということである。』
場所やサイズからして石乃寶殿の事を指すと見て良いだろう。そして聖徳太子が活躍したのは600年前後なので、デザイン的にも時代がばっちり符号。気持ちいい。

益田岩舟や牽牛子塚古墳などと照らし合わせて考えると、作りかけの横口式石槨と考えるのが順当ではある。しかしそれなら外側もここまでピシッと整えなくても良い様な気も。何を作りたかったのかはさて置き、切り出してみたものの、大き過ぎて運べなかったのかなと想像。